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「名前?」


ずっと何かを言い難そうだと思っていたけど、そこか……
彼女と連れ立って、近くの喫茶店に来ていた。
ひとまず朝飯、それから今日の予定を考えるつもりで……


「目が覚めても、わからないとか……
俺って、そこまで存在感ないのかな?」


正直凹む。
会社では何度か会ってた。
会話とまでいかないけど、挨拶もしたことがある。
なのに、わからないもんなんだな……


まぁ、たしかに部署は違うし、会社は基本スーツか作業着だし、今と見た目も少し違うかもしれない。
けど、思い出してほしかった。


「……ごめんなさい……」

「仕方ないか……」


けど、なんだ、このちょっとモヤッとした気持ちは?


「仕方ないけど……」


すんなり自己紹介って気分でもない。


「シュウ」


だからちょっと意地悪をする。
俺だって、昨日からかなり焦らされてる。
だから、ほんの少し意地悪。呼び名がないのは不便だからね。


「今は『シュウ』だけ教えてあげる」


俺を見付けてよ。


「友達にはそう呼ばれてるんだ」

「……シュウ、くん?」

「呼び捨てでいいよ?」

「シュウ……」


途端にポッと彼女の頬が染まる。
あ、照れた。


「シュウ?」


上目遣いに、語尾を上げて俺に問い掛けた。
今度はコッチが照れる番だけど……
なんだ? すげぇー いい!


「……いいね」


照れるけど、いい。


「咲和子」


彼女の名を呼んでみる。
グッと距離が縮まったような錯覚を覚える。
なんとなく二人で笑い合って、甘いクリームのついたパンを頬張った。


その後は映画に行くか動物園や水族館のようなところに行くか悩んだけど、無難に映画館に決めた。
ちょうど見たい映画もあったし、一つのものを一緒に見て感想を言い合いたいって気持ちもあった。
アパートに帰り車に乗り込んだ。
助手席に彼女が座る。はじめからわかってたことだけど、シートベルトを締めた彼女から目を反らせた。


一足早く彼女の体に触れてしまって、本当はもっと時間をかけてそこに辿り着くべきだったんだ。
だから、これからはゆっくり、俺のことも見て欲しい、知って欲しいと思う。
俺だってもっと知らない彼女を知りたい。
2人でゆっくり……








「……っん!」





ゆっくり、進めて行くはずだった。




「……待って、はぁ、んん……」




何、やってんだ?


「何、馬鹿なこと……」


苛立ちで、彼女にしゃぶりついた。


「待て、お、っん! あ、 お願い! あっ、イヤ、だめ」


大きく胸を揉みし抱くと、彼女から甘い声が洩れはじめる。


「あ、……はぁ、あ…… あ……」


大きな膨らみに顔を埋め、片手を彼女の腰から下に伸ばす。


「あ、ダメ……」


服の上から何度か撫で、服の中へと進んで行く。


「あ、……やだ 待って、お願い、待って!」


彼女の懇願も耳に入らない程、何も考えられなくなった。


「やだ! こんなところで、こんなの! イヤ!!」


途中間違ってます。
焦らされてない、勝手に焦れてるだけでした!

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