ある春の日の午後でした。
ママは、りょうちゃんに本を読んでいました。
ぽかぽかと気持ちよくて、ママはふぁ〜っと大きなあくびをしました。
フッと、りょうちゃんは、ママの声が聞こえなくなっていることに、気が付きました。
ママの顔をのぞくと、ママは眠っていました。
「あれ? マァマ〜」
りょうちゃんはママを揺すりましたが、ママはスヤスヤと小さな寝息をたてていました。
「ママ、ネンネ?」
りょうちゃんはママの顔をのぞきこみ、ちょっと首をかしげました。
「りょうちゃん、ネンネないよ。だれかあそぼうよぉ」
するとそこに、しっぽをピンとたてた、ネコがやってきて、
「ニャーーン。 ママ〜 ノドかわいた〜 なにかちょうだい。ニャゴニャゴ」と言いました。
りょうちゃんは、
「ママ、ネンネしてるの、しずかにしてね」
お母さん指をたて、シィーと言いました。
「ネコさん、好きなのなぁに? りょうちゃんがとってあげるね」
「りょうちゃんが? じゃね、ミルクをちょうだい」
ネコはコロコロとうれしそうに言い、りょうちゃんの足にスリスリと首をくっつけました。
りょうちゃんは冷蔵庫の中のミルクをネコのお皿に入れてあげました。
ネコは、ゴロゴロとノドを鳴らしながら、おいしそうにミルクを飲みました。そしてお皿をきれいになめ、
ふぁ〜っと大きなあくびをするとそのまま眠ってしまいました。
「ネコさん、ねんね?」
りょうちゃんはネコの背中をツンツンとつつきましたが、ネコはぐっすり眠ってしまって、起きません。
「ママ、ネコさん、ネンネ?」
りょうちゃんも一つふぁ〜とあくびをしましたが、
「りょうちゃん、ネンネないよ。だれかあそぼうよぉ」と言いました。
りょうちゃんが1人で遊んでいると、今度はちょっちょことネズミがやってきて、
「チュチュ、ママ〜 お腹がすいた〜 おやつちょうだい。チュッチュウ」と言いました。
りょうちゃんは、
「ママ、ネンネしてるの、しずかにしてね」
お母さん指をたて、シィーと言いました。
「ネズミさん、好きなのなぁに? りょうちゃんがとってあげるね」
「りょうちゃんが? じゃね、チーズをちょうだい」
ネズミは、手をバタバタさせて大きなチーズを受け取り、うれしそうに全部食べてしまいました。
「おなかいっぱい」ネズミはふぁ〜と大きなあくびをしてそのまま眠ってしまいました。
「ネズミさん、ネンネ?」
りょうちゃんはネズミの頭をこちょこちょとこそばしましたが、ネズミはぐっすり眠ってしまって、起きません。
「ママ、ネコさん、ネズミさん、みんなネンネ?」
りょうちゃんももう一つふぁ〜とあくびをしましたが、
「りょうちゃん、ネンネないよ。だれかあそぼうよぉ」と言いました。
「キキキッ、じゃ、ぼくとあそぼう!」
窓の外から声がして、サルが入ってきました。
「ぼくとあそぼ! キキッ」
サルはもう一度言いながらりょうちゃんの周りをグルグル回りました。
りょうちゃんは、あわてて、
「みんな、ネンネしてるの、しずかにしてね」
お母さん指をたて、シィーと言いました。
「 キキキッ、 ぼくとあそぼ!」
サルは今度は小さな声で言いました。
「うん、あそぼ!」
りょうちゃんとサルはクレヨンでお絵描きしたり、かくれんぼしたり、
おにごっこしたり、お家の中でいろいろなことをして遊びました。
「ねぇ、りょうちゃん、お腹すいた〜 なにかちょうだい、 キキッ」
サルが急に大きな声で言いました。
「サルさんは、好きなのなぁに? りょうちゃんとってあげるよ」
「じゃね。バナナがいい! 机の上にあったのとって!!」
机の上にはバナナが3本置いてありました。
それはママが用意していたりょうちゃんの今日のおやつでした。
「これ、りょうちゃんのだよ」
「3本あるの。1本ちょうだい!」
サルは首をブルブルふって、もう一度「ちょうだい」と言いました。
「じゃ、1本だけだよ」
りょうちゃんはバナナを1本とってサルにあげました。
「サルさんおいしい?」
大きな口をあけ、パックリとバナナをほおばったサルにりょうちゃんは聞きました。
「すっごく、おいしいよ!」
サルは口をもぐもぐさせながら言いました。
すると、りょうちゃんのお腹がクゥーっとなって、ムズムズムズ。とうとうりょうちゃんも我慢出来ずにパクリ!
「ホントだ! おいしいね!」
りょうちゃんとサルは一気にバナナを食べてしまいました。
その時、大きな声で犬がワンと鳴いて、サルはびっくりして、最後の1本のバナナを持って逃げてしまいました。
「ウー ワンワン ママ! 誰か来たよ! ワォーン ワンワン」
外で犬が、大きな声で言いました。
りょうちゃんはびっくりして、
「ママ、ネンネしてるの! しずかにしなさい!」
慌てて、お母さん指をたてようとしたとき、後ろからママの声がしました。
「はいはい、ちょっと待って下さいね」
ママは、りょうちゃんの頭をなでながら、「ネンネしてたね」と言いました。
ママは迎えに来た、犬と一緒に外にでました。
「おばさんから、イチゴをいただいたわよ」
ママは、カゴいっぱいのイチゴを持って、にっこり笑って帰ってきました。
いちごを見たりょうちゃんのお腹はクゥーっとなって、ママはさっそく、今日のおやつにイチゴを洗ってくれました。
イチゴはとってもいいにおいで、大きくて、甘くて、おいしいものでした。
おしまい
1111を踏んで頂けました、鈴原ゆう那様へのプレゼント用に書かせて頂きました。
本当につまらないものですが、受け取って頂きありがとうございます!
なんとか公開することが出来ました。