金色の星

福音館 母の友 2007年11月号掲載 (HP用に書き直しあり)



       金色の星がありません。



   もうすぐクリスマス。

   ママはお友達の家に遊びに行ったりょうちゃんが帰ってくるまでに、

   ツリーの飾りつけをすることにしました。



   クリスマスの飾りの入っている箱の中から、いろいろなものを取り出します。

   ツリーにチカチカ光る電球を巻き、キラキラした丸い玉をつけ、赤いリボンを巻きました。

   そして、りょうちゃんが気に入っている、サンタの服を着たクマの人形も飾りました。

   いよいよてっぺんに飾る金色の星をつけるだけになりましたが、

   大変なことに金色の星がありません。

   もう一度箱の中を探しました。押し入れの中も探しました。

   入れていそうなところは全部見ましたが、どこにもありませんでした。

   パパなら知っているかもと思い、聞いてみましたが、パパも知りませんでした。

   おじいちゃんやおばあちゃんにも聞きましたが、やっぱり二人とも知りませんでした。

   パパもママもおじいちゃんもおばあちゃんも、みんなで探しました。

   タンスの上やテレビの後ろ、家具と家具のすきままで……。

   けれどどんなに探しても、金色の星は見つかりませんでした。



   みんな、つかれてしまいました。でも、ゆっくりしてはいられません。

   もうすぐりょうちゃんが帰ってくる時間でした。

   それまでに見つけて星を飾らないと、りょうちゃんが悲しんでしまいます。

   そこでもう少しがんばって探すことにしました。



   もう一度家の中を見てまわりました。台所の戸だなの上や、げた箱の中まで見ました。

   いろんなものをひっくりかえし、家中散らかってしまいました。

   もう、りょうちゃんが帰ってきます。時間がなくなりました。

   みんなあきらめて片づけることにしました。

   部屋は大そうじをしたみたいに、ピカピカになりましたが、

   ツリーの上でピカピカ光っているはずの金色の星は、どうしても見つかりませんでした。



   チャイムがなり、りょうちゃんが帰ってきました。

   りょうちゃんは目を丸くして喜びました。

   りょうちゃんよりも少し高いクリスマスツリーを見上げると、

   すぐにクマの人形を見つけ、ほおずりしました。

   でもママ達は、金色の星が見つからないことを伝えなければなりません。

   こんなことなら探すのを早くやめて、新しい星を買ってくればよかったとママは思いました。

   そのとき、りょうちゃんがうれしそうにかばんからピカピカ光るものを取り出しました。

   それはみんなが一生懸命探していた金色の星でした。

   「りょうちゃんがつけたかったの」

   りょうちゃんは星をぎゅっと抱きしめました。

   りょうちゃんはパパにだっこしてもらい、金色の星をツリーのてっぺんにつけました。

   星はクリスマスツリーの上でピカピカと光りました。

   りょうちゃんはママと約束をしました。

   来年のクリスマスには、一緒にクリスマスツリーを飾ろうねって……。


こちら雑誌に掲載された一番最初の作品です。季節がらよいので急遽UPしました。 (**;
何か書きたいと思って書いたはじめの方の作品なので… 恥ずかしいものですな…
HP用に書き直しております。
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